受診の目安と、家族だけでも利用できる相談先
ひきこもりの状態が長く続くと、家族は、
「うつになっているのではないか」
「病院へ連れて行ったほうがよいのだろうか」
「本人が相談を拒否している場合は、どうすればよいのか」
と悩むことがあります。
ひきこもっている人が、すべてうつ病というわけではありません。
しかし、うつ状態がきっかけとなって外出できなくなる場合もあれば、ひきこもりが長期化する中で、自信や希望を失い、うつ状態が強くなる場合もあります。
大切なのは、家族だけで病名を判断することではなく、本人の心身に現れている変化に気づくことです。
ひきこもりとうつは、どのように関係するのか
学校や職場でのストレス、人間関係の悩み、失敗や挫折などが続くと、心と体のエネルギーが低下することがあります。
朝起きられない、人と話すことがつらい、何をする気力も起きないといった状態から、学校や仕事を休むようになり、そのまま家から出られなくなることがあります。
反対に、最初は人間関係への不安などがきっかけだったとしても、ひきこもり状態が長く続くことで、
「自分には価値がない」
「家族に迷惑をかけている」
「同級生や友人は前に進んでいるのに、自分だけが止まっている」
「今さら、やり直すことはできない」
と考えるようになり、うつ状態が深まることもあります。
うつがひきこもりにつながることもあれば、ひきこもりの長期化がうつを強めることもあるのです。
家族が気づきたい、うつの可能性がある変化
うつは、悲しそうにしている、気分が落ち込んでいるといった変化だけで判断できるものではありません。
国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、うつ病では気分の落ち込みや楽しさの喪失に加え、不眠、食欲の低下、疲れやすさなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じることがあると説明されています。
次のような変化が続いていないか、本人の様子を確認してみましょう。
- 以前は楽しんでいたことに興味を示さなくなった
- ゲームや動画など、好きだったことも楽しめなくなった
- 一日中眠っている、または夜になってもほとんど眠れない
- 食事の量が極端に減った、または増えた
- 入浴や歯磨き、着替えができなくなった
- 少し動いただけでも強く疲れる
- 会話や動作が以前より遅くなった
- 集中できず、簡単なことも決められない
- イライラや落ち着かなさが強くなった
- 自分を責める言葉が増えた
- 「自分には価値がない」と話すようになった
- 「消えたい」「いなくなりたい」と口にする
本人が「気分が落ち込んでいる」と話すとは限りません。
頭痛、肩こり、胃の不調、動悸、めまい、体のだるさなど、身体の不調として現れることもあります。
一つの変化だけでうつ病と決めつけることはできませんが、いくつもの変化が重なり、日常生活への影響が続いている場合には、早めに専門家へ相談することが大切です。
受診や相談を考えたほうがよい目安
次のような状態が見られる場合は、「もう少し様子を見よう」と家族だけで抱え込まず、医療機関や公的な相談窓口への相談を考えます。
- 心身の不調が長く続いている
- 食事や睡眠が大きく乱れている
- 日常の身の回りのことができなくなっている
- 本人の苦しさが以前より強くなっている
- 家族との会話がほとんどできない
- 家族がどのように接すればよいかわからない
- 家庭内の緊張や衝突が増えている
- 本人または家族の安全に不安がある
相談するために、症状が重くなるまで待つ必要はありません。
「うつ病かどうかを診断してもらう」という目的だけでなく、現在の状態を整理し、家庭でどのように接すればよいかを相談することもできます。
本人に受診を勧めるときの伝え方
本人に、
「あなたはうつ病だから病院へ行きなさい」
「このままでは治らない」
と伝えると、責められたり、病気だと決めつけられたりしたように感じることがあります。
受診を勧めるときは、家族が実際に心配している変化を具体的に伝えます。
たとえば、
「最近、ほとんど眠れていないようなので心配しているよ」
「体のだるさが続いているから、一度相談してみない?」
「すぐに学校や仕事へ戻るためではなく、少し楽に過ごす方法を聞いてみない?」
といった伝え方です。
精神科や心療内科に抵抗がある場合は、まず内科などのかかりつけ医へ相談する方法もあります。
うつ病の可能性があるときは、自己判断せず、精神科や心療内科、かかりつけ医、保健所、精神保健福祉センターなどへ相談できます。
本人が相談を拒否しても、家族だけで相談できます
本人が、
「病院には行かない」
「知らない人と話したくない」
「自分には関係ない」
と、相談や受診を拒むこともあります。
その場合、無理に連れ出そうとすると、家族への警戒心が強くなることがあります。
本人が動けなくても、まず家族だけで相談することができます。
家族が本人の生活状況や変化を伝え、声のかけ方、受診の勧め方、家庭での対応について助言を受けることも、支援の一つです。
相談の際は、次のようなことを簡単にメモしておくと、状況を説明しやすくなります。
- ひきこもり始めた時期
- きっかけと思われる出来事
- 睡眠や食事の状態
- 本人との会話の様子
- 最近見られた心身の変化
- 暴言、自傷、暴力の有無
- 家族が特に困っていること
すべてを正確に説明できなくても問題ありません。
わかる範囲から相談を始めることが大切です。
家族が利用できる主な相談先
ひきこもり地域支援センター
ひきこもりに関する専門的な相談窓口です。
すべての都道府県と指定都市に設けられており、社会福祉士や精神保健福祉士などの支援コーディネーターを中心に、本人や家族からの電話相談、来所相談などに対応しています。家族への相談支援や、地域の支援機関への案内も行われています。
保健所
ひきこもり、思春期の問題、こころの健康、受診に関する相談などに対応しています。
保健師、医師、精神保健福祉士などの専門職に相談でき、地域や状況によっては、訪問による相談に対応している場合もあります。
精神保健福祉センター
こころの健康や精神疾患について相談できる、都道府県や指定都市などの公的な専門機関です。
本人への接し方や医療機関へのつなぎ方などについて、家族から相談することもできます。
精神科・心療内科・かかりつけ医
不眠、気分の落ち込み、強い疲労感、食欲の変化などが続いている場合は、医療機関への相談を考えます。
精神科や心療内科に抵抗がある場合は、日頃から受診している内科などのかかりつけ医に、最初に相談してもよいでしょう。
急いで対応する必要がある状態
次のような状態がある場合は、通常の相談日を待たず、速やかに医療機関や救急機関などへ相談してください。
- 食事や水分をほとんど取れていない
- 何日もほとんど眠れていない
- 意識や受け答えが普段と大きく異なる
- 自傷行為をしている
- 薬を大量に飲んだ可能性がある
- 「死にたい」と繰り返している
- 自殺の方法や時期について具体的に話している
- 幻覚や妄想が疑われる
- 本人や家族への暴力がある
- 家族だけでは安全を確保できない
「死にたい」という言葉だけでなく、「消えたい」「いなくなりたい」「ずっと眠っていたい」といった言葉にも注意が必要です。具体的な計画があるかどうかを確認することは、危険性を判断するうえで重要とされています。
命に関わる危険が差し迫っている場合は、本人を一人にせず、ためらわずに119番へ連絡してください。暴力などにより本人や家族の安全が守れない場合は、110番への連絡も必要です。
相談することは、本人を無理に変えることではありません
専門機関に相談したからといって、すぐに本人を学校や仕事へ戻さなければならないわけではありません。
現在の状態を理解し、本人にどのような支援が必要なのかを考えるための相談です。
本人が動けないときは、家族が先に相談してもかまいません。
家族が接し方を学び、家庭内の緊張を少し減らすことで、本人が気持ちを話せるようになることもあります。
「まだ受診するほどではない」と迷っている段階でも、相談はできます。
本人と家族だけで抱え込まず、地域の支援機関や専門家とつながることが、回復に向けた大切な一歩になります。
外出や対面での相談が難しい方へ
ひきこもりやうつ状態にあると、相談したほうがよいとわかっていても、
「人に会うことがつらい」
「外へ出る気力がない」
「自分の状態をうまく説明できない」
と感じ、相談への一歩を踏み出せないことがあります。
そのような方のために、マイスパうつ改善セラピー&カウンセリングでは、自宅でスマートフォンを使って取り組めるサポートを行っています。
最初に問診に回答していただき、現在のうつ症状や心身の状態を確認したうえで、一人ひとりに合わせた音声セラピーをご案内します。
音声を聴きながら心と体の緊張を和らげ、少しずつ生活や考え方を整えていくことを目指します。対面で人と会う必要はなく、困っていることはメールで相談できます。
ご本人が申し込みや手続きを行うことが難しい場合は、ご本人の同意のもと、ご家族からお申し込みいただくことも可能です。
ひきこもりからの回復は、すぐに外へ出たり、学校や仕事に戻ったりすることだけではありません。
まずは、安心して眠れるようになること。
心と体の緊張を少しずつ和らげること。
自分を責め続ける状態から、少しずつ離れていくこと。
自宅でできる小さな取り組みから、始めてみてください。
自宅で誰にも会わずに始められるサポート
[マイスパうつ改善セラピー&カウンセリングについて詳しく見る]
※マイスパは、医療機関による診断や治療に代わるものではありません。現在通院中の方は、主治医の治療や服薬を続けながらご利用ください。食事や水分が取れない、自傷行為がある、「死にたい」と繰り返しているなど、緊急性の高い状態では、マイスパへのお申し込みよりも先に、医療機関や救急機関へご相談ください。

