無理に外へ出そうとする前に大切なこと
ひきこもりの状態にある家族を見ていると、
「何か行動を起こさせなければ」
「このまま見守っていてよいのだろうか」
と、不安や焦りを感じることがあります。
しかし、本人が心のエネルギーを失っているときに、学校や仕事へ戻るよう繰り返し求めると、かえって動けなくなることがあります。
家族にできるサポートは、本人を無理に外へ出すことだけではありません。
まずは、家庭を安心して過ごせる場所にし、本人が少しずつ心の力を取り戻せるように支えることが大切です。
1.学校や仕事への復帰を急がせない
家族としては、できるだけ早く学校や仕事へ戻ってほしいと思うものです。
しかし、本人にとっては、部屋から出ることと、学校や職場へ戻ることの間に大きな隔たりがあります。
久しぶりに家族と食事ができたときに、
「これなら明日は学校に行けるのでは?」
「そろそろアルバイトを探してみたら?」
と言われると、本人は、
「少し元気になると、すぐに次のことを求められる」
と感じることがあります。
まずは、少し話せたことや、部屋から出られたことを、そのまま受け止めましょう。
回復を急がせず、本人のペースを尊重することが大切です。
2.ひきこもりの話ばかりをしない
家族との会話が、学校、仕事、病院、将来の話ばかりになると、本人は会話そのものを避けるようになります。
本人に声をかけるたびに、
「これからどうするの?」
「相談には行かないの?」
と聞かれていては、部屋から出ることも負担になってしまいます。
天気、食事、テレビ、音楽、ゲーム、ペットなど、問題解決とは関係のない日常会話も大切です。
「今日は暑いね」
「夕食はカレーにするね」
「好きそうな番組をやっているよ」
といった何気ない言葉が、家族との関係をつなぎます。
3.返事や会話を無理に求めない
声をかけても返事がないと、家族は無視されたように感じることがあります。
しかし、本人は話したくないのではなく、何と答えればよいかわからない場合があります。
声を出すことや、家族の顔を見ることさえ負担になっていることもあります。
そのようなときは、
「ごはんを置いておくね」
「返事は今しなくても大丈夫だよ」
「必要なものがあったらメモで教えてね」
と短く伝え、その場を離れます。
返事がなくても、本人には言葉が届いていることがあります。
会話を成立させることよりも、安心できる声かけを続けることが大切です。
4.小さな変化をそのまま受け止める
ひきこもりからの回復は、一気に進むとは限りません。
最初は、ほんの小さな変化から始まることがあります。
たとえば、
- 昼間に起きられた
- 自分で食事を取りに来た
- 家族と短い会話ができた
- テレビを一緒に見た
- 近所を少し歩いた
- 好きなことを楽しめた
といった変化です。
家族にとっては小さく見えても、本人にとっては大きな一歩かもしれません。
「次はこれをしてみよう」と急いで先へ進ませるのではなく、
「今日は一緒にごはんを食べられてよかった」
と、その日の変化をそのまま受け止めます。
5.生活リズムを一度に変えようとしない
昼夜が逆転していると、家族は早く朝型の生活に戻そうとします。
しかし、
「朝は必ず起きなさい」
「昼まで寝ているから夜に眠れないのよ」
と叱っても、簡単に変えられるとは限りません。
うつ状態や強い不安がある場合、昼間は人の気配や外の音が気になり、夜になって初めて落ち着ける人もいます。
まずは、食事、水分、睡眠が大きく崩れていないかを確認しましょう。
一度に生活全体を変えるのではなく、
「起きたらカーテンを少し開ける」
「目が覚めたら水を飲む」
「一日一度は何か食べる」
など、負担の少ないことから始めます。
6.本人のプライバシーを尊重する
本人が何を考えているのかわからないと、家族は部屋や持ち物を調べたくなることがあります。
しかし、本人の許可なくスマートフォン、パソコン、日記などを見ると、家族への信頼を失うことがあります。
部屋に入るときも、できる限りノックをし、本人に声をかけましょう。
ひきこもっているからといって、本人のプライバシーがなくなるわけではありません。
ただし、自傷行為や自殺の危険が疑われる場合、食事や水分をほとんど取っていない場合などは、安全を優先する必要があります。
そのようなときは、家族だけで判断せず、医療機関や地域の相談窓口へ相談してください。
7.できることと、できないことを穏やかに伝える
本人を刺激しないようにすることと、本人の要求をすべて受け入れることは同じではありません。
家族が無理をして、すべての身の回りのことを代わりに行う必要はありません。
高額な買い物に応じたり、暴言や暴力に耐え続けたりする必要もありません。
家庭内で守ってほしいことは、感情的にならず、具体的に伝えます。
たとえば、
「必要なものは、できれば前の日までに教えてね」
「大声で怒鳴られると話せないので、落ち着いてから話そう」
「この金額を超える買い物には応じられないよ」
という伝え方です。
「あなたはわがままだ」と本人の性格を責めるのではなく、家族としてできることと、できないことを伝えます。
家族だけで相談してもよい
本人に相談機関や病院を勧めても、拒否されることがあります。
「自分は病気ではない」
「知らない人には会いたくない」
「相談しても意味がない」
と言われることもあるでしょう。
その場合、無理に本人を連れて行く必要はありません。
まずは家族だけで、地域のひきこもり相談窓口、ひきこもり地域支援センター、保健所、精神保健福祉センターなどに相談できます。
本人への声のかけ方や、家庭での対応を専門家に相談することも、回復を支える大切な一歩です。
家族自身の生活も大切にする
ひきこもっている本人を心配するあまり、家族まで外出や趣味をやめてしまうことがあります。
しかし、家族が疲れ切ってしまうと、長く支え続けることが難しくなります。
家族が自分の時間を持つことは、本人を見捨てることではありません。
十分に眠ること、外出すること、友人と話すこと、自分の楽しみを持つことも大切です。
家族自身が相談できる相手を持つことで、本人に対して落ち着いて接しやすくなります。
安心できる家庭が回復の土台になります
ひきこもりからの回復は、学校へ戻ることや、仕事を始めることだけではありません。
家族とあいさつができる。
一緒に食事ができる。
少し自分の気持ちを話せる。
外へ出てみようと思える。
このような小さな変化も、大切な回復の一部です。
家族にできるのは、本人を力ずくで変えることではありません。
本人が安心して休み、少しずつ心のエネルギーを取り戻せる環境をつくることです。
急がせず、比べず、できたことをそのまま受け止める。
その積み重ねが、本人が自分から一歩を踏み出すための土台になります。
外出や対面での相談が難しい方へ
ひきこもりやうつ状態にあると、相談したほうがよいとわかっていても、
「人に会うことがつらい」
「外へ出る気力がない」
「自分の状態をうまく説明できない」
と感じ、相談への一歩を踏み出せないことがあります。
そのような方のために、マイスパうつ改善セラピー&カウンセリングでは、自宅でスマートフォンを使って取り組めるサポートを行っています。
最初に問診に回答していただき、現在のうつ症状や心身の状態を確認したうえで、一人ひとりに合わせた音声セラピーをご案内します。
音声を聴きながら心と体の緊張を和らげ、少しずつ生活や考え方を整えていくことを目指します。対面で人と会う必要はなく、困っていることはメールで相談できます。
ご本人が申し込みや手続きを行うことが難しい場合は、ご本人の同意のもと、ご家族からお申し込みいただくことも可能です。
ひきこもりからの回復は、すぐに外へ出たり、学校や仕事に戻ったりすることだけではありません。
まずは、安心して眠れるようになること。
心と体の緊張を少しずつ和らげること。
自分を責め続ける状態から、少しずつ離れていくこと。
自宅でできる小さな取り組みから、始めてみてください。
自宅で誰にも会わずに始められるサポート
[マイスパうつ改善セラピー&カウンセリングについて詳しく見る]
※マイスパは、医療機関による診断や治療に代わるものではありません。現在通院中の方は、主治医の治療や服薬を続けながらご利用ください。食事や水分が取れない、自傷行為がある、「死にたい」と繰り返しているなど、緊急性の高い状態では、マイスパへのお申し込みよりも先に、医療機関や救急機関へご相談ください。

