はじめに
「いつまで家にいるつもりなの?」
「少しは外に出たほうがいいよ」
「働かないと将来困るよ」
ひきこもっている家族を心配するあまり、このような言葉をかけてしまうことがあります。
家族としては、本人を責めたいのではなく、何とか元気になってほしい、社会に戻ってほしいという思いから出た言葉かもしれません。
しかし、ひきこもっている本人も、多くの場合、
「このままではいけない」
「家族に迷惑をかけている」
「同年代の人は働いているのに、自分は何をしているのだろう」
と、すでに強い焦りや罪悪感を抱えています。
そのため、励ましや助言のつもりでかけた言葉が、本人の自己否定を強め、さらに心を閉ざす原因になることがあります。
この記事では、ひきこもっている人に言わないほうがよい言葉と、安心につながりやすい言葉を、具体的にご紹介します。
1.「いつまでこんな生活を続けるの?」
なぜ言わないほうがよいの?
ご家族にとっては、先の見えない生活が続くことへの不安があるでしょう。
しかし、本人も「いつまでこの状態が続くのだろう」と悩んでいます。自分でも答えが出せないことを繰り返し問われると、責められているように感じてしまいます。
また、期限を迫られることで焦りが強くなり、かえって動けなくなることもあります。
どのように声をかける?
「これからのことを、一緒に少しずつ考えていこう」
「すぐに答えを出さなくても大丈夫だよ」
「今、困っていることがあれば教えてね」
将来の問題をすべて本人に背負わせず、「一緒に考える」という姿勢を伝えることが大切です。
2.「働かないの?」「仕事くらい探したら?」
なぜ言わないほうがよいの?
大人のひきこもりの場合、家族が最も心配することの一つが仕事です。
しかし、本人にとっては、求人を見る、電話をする、面接を受ける、人と一緒に働くといった一つひとつの行動が、大きな負担になっていることがあります。
働かなければいけないことは、本人も十分わかっています。それでも動けない状態で仕事を求められると、
「自分は役に立たない」
「家族にとって迷惑な存在だ」
という思いが強くなってしまいます。
どのように声をかける?
「仕事のことは、体調が整ってから考えてもいいよ」
「今できそうなことから一緒に探してみようか」
「働くことだけが、今の目標でなくてもいいと思うよ」
最初の目標を就職に限定せず、生活リズムを整える、家族と食事をする、短時間外に出るなど、小さな段階から考えていきましょう。
3.「甘えているだけじゃないの?」
なぜ言わないほうがよいの?
ひきこもりは、外から見ると、家で何もせずに過ごしているように見えることがあります。
しかし、その背景には、強い不安、人間関係での傷つき、挫折経験、自己肯定感の低下、うつ状態などが隠れていることがあります。
「甘え」と決めつけられると、本人は、自分の苦しさを理解してもらえないと感じます。
家族への信頼を失い、会話や接触をさらに避けるようになることもあります。
どのように声をかける?
「外に出るのがつらいんだね」
「今は動くための力がなくなっているのかもしれないね」
「無理に説明しなくてもいいよ」
本人の状態を決めつけず、「つらさには理由がある」と考えることが大切です。
4.「同級生はみんな働いているよ」
なぜ言わないほうがよいの?
同級生や兄弟姉妹、近所の人などと比較する言葉は、本人の自己否定を強めます。
大人のひきこもりでは、
「友人は結婚して家庭を持っている」
「同世代は仕事で活躍している」
「自分だけ人生が止まっている」
と感じている人も少なくありません。
本人自身が最も気にしていることを家族から指摘されると、自分の存在そのものを否定されたように感じることがあります。
どのように声をかける?
「人と同じ速さで進まなくてもいいよ」
「今のあなたに合った進み方を考えよう」
「誰かと比べなくても大丈夫だよ」
回復の速さや人生の歩み方は、人によって異なります。ほかの人ではなく、以前の本人と比べて小さな変化を見守ることが大切です。
5.「昔はもっと頑張っていたのに」
なぜ言わないほうがよいの?
以前は学校に通っていた、仕事をしていた、人付き合いもできていたという場合、家族は過去の元気な姿に戻ってほしいと願うでしょう。
しかし、過去の姿と比較されると、本人は、
「今の自分には価値がない」
「家族が求めている自分には戻れない」
と感じることがあります。
以前できていたことができない苦しさを、最も感じているのは本人です。
どのように声をかける?
「今までよく頑張ってきたんだね」
「今は休むことが必要な時期なのかもしれないね」
「今の状態からできることを考えていこう」
過去の本人を取り戻そうとするのではなく、今の本人を受け止める姿勢が安心につながります。
6.「とにかく外に出れば変わるよ」
なぜ言わないほうがよいの?
外に出ることが回復のきっかけになる場合はあります。
しかし、ひきこもっている人にとっては、玄関を出る、人とすれ違う、店員と話すといったことも、大きな緊張につながる場合があります。
外出を強く勧められると、
「外に出られない自分はだめだ」
「また家族の期待に応えられなかった」
と感じ、さらに自信を失ってしまうことがあります。
どのように声をかける?
「外に出たくなったら、一緒に行こうか」
「人の少ない時間に少し歩いてみる?」
「今日は無理をしなくても大丈夫だよ」
本人が断っても責めず、選択肢として提案する程度にしましょう。
7.「そんなに嫌なことがあったの?」
なぜ言わないほうがよいの?
家族としては、ひきこもった原因を知り、解決したいと思うでしょう。
しかし、本人にも原因がはっきりわからないことがあります。いくつもの出来事が積み重なり、少しずつ外へ出られなくなっている場合もあります。
また、学校や職場で経験したことを思い出すだけでも、強い苦痛を感じることがあります。
何度も理由を尋ねられると、取り調べを受けているような気持ちになるかもしれません。
どのように声をかける?
「話したくなったときに聞かせてね」
「今は説明しなくても大丈夫だよ」
「理由がわからなくても、つらいことは伝わっているよ」
話を聞く準備があることは伝えつつ、話すかどうかは本人に委ねましょう。
8.「親が死んだらどうするの?」
なぜ言わないほうがよいの?
大人のひきこもりを支える家族にとって、自分たちが高齢になった後のことは、切実な問題です。
しかし、本人も親亡き後の生活に強い不安を感じています。
将来の不安を繰り返しぶつけられると、希望を失い、
「自分は家族の重荷だ」
「自分などいないほうがよい」
と考えてしまう危険があります。
どのように声をかける?
「将来について、相談できる場所を一緒に探してみよう」
「家族だけで抱えず、使える制度も調べてみよう」
「今すぐ全部を解決しなくても、少しずつ準備していこう」
将来について話すこと自体が悪いわけではありません。責める形ではなく、家族共通の問題として一緒に考えることが大切です。
9.「病院や相談に行きなさい」
なぜ言わないほうがよいの?
専門家への相談が必要な状態でも、命令するように勧めると、本人が警戒してしまうことがあります。
「自分を病気扱いしている」
「無理やり外へ連れ出される」
「知らない人にすべて話さなければならない」
と感じ、支援を強く拒否する場合があります。
どのように声をかける?
「最近つらそうだから、相談できる場所を一緒に探してみない?」
「直接行くのが難しければ、家族だけで相談することもできるよ」
「電話やオンラインで相談できるところもあるみたいだよ」
最初から本人を連れて行こうとせず、まず家族だけで相談し、接し方について助言を受ける方法もあります。
10.「せめて家のことくらいして」
なぜ言わないほうがよいの?
家族が仕事や家事をしながら本人を支えている場合、不公平感や疲労がたまるのは自然なことです。
ただし、強い言葉で求めると、本人は責められたと感じて、さらに部屋から出なくなることがあります。
一方で、家族がすべてを引き受け続ける必要もありません。
どのように声をかける?
「できそうなことを一つ、一緒に決めない?」
「食器を運ぶことならできそうかな?」
「難しい日は、無理だと伝えてくれて大丈夫だよ」
本人の状態に合わせて、小さく具体的なお願いから始めましょう。
「何か手伝って」という曖昧な頼み方より、本人が判断しやすくなります。
では、どのような言葉をかければよいのでしょうか?
ひきこもっている人に接するとき、大切なのは、無理に変えようとすることではありません。
まずは、家の中が本人にとって安心できる場所であることを伝えましょう。
安心につながりやすい言葉
「無理に話さなくても大丈夫だよ」
「困っていることがあったら教えてね」
「あなたのことを心配しているけれど、責めたいわけではないよ」
「今日は一緒に食事ができてよかった」
「今できることから考えていこう」
「話したくなったときは、いつでも聞くよ」
「家族だけで抱えず、一緒に相談先を探そう」
「あなたの味方でいたいと思っているよ」
どの言葉を使うか以上に大切なのは、返事や行動をすぐに求めないことです。
声をかけても反応がないからといって、伝わっていないとは限りません。
言葉だけでなく、接し方も大切です
本人の安心感を守るためには、言葉以外の関わり方にも配慮が必要です。
- 本人の許可なく部屋に入らない
- 突然、親戚や支援者を家に呼ばない
- 本人の状況を周囲に勝手に話さない
- 毎日のように仕事や将来の話をしない
- 無理に食卓や外出へ誘わない
- 返事を求めない短い声かけを続ける
- 本人の好きなことをすぐに否定しない
ゲーム、動画、インターネットなどが、本人にとって心を保つための大切な支えになっている場合もあります。
生活を急に取り上げたり、禁止したりするのではなく、その背景にある気持ちを理解することから始めましょう。
家族も我慢し続ける必要はありません
本人を責めないことと、ご家族がすべてを我慢することは同じではありません。
長期間ひきこもっている家族を支える中で、
「何を言っても届かない」
「自分の人生まで失われているように感じる」
「優しく接する余裕がない」
と思うこともあるでしょう。
ご家族が怒りや疲れを感じることは、決して悪いことではありません。
本人が相談を拒んでいても、ご家族だけで地域の相談窓口、保健所、精神保健福祉センター、ひきこもり地域支援センターなどに相談できます。
家族が接し方を学び、心の余裕を取り戻すことも、本人の回復を支える大切な一歩です。
早めに専門家へ相談したいサイン
次のような状態が見られる場合には、言葉のかけ方だけで解決しようとせず、早めに医療機関や公的な相談窓口へ相談してください。
- 「死にたい」「消えたい」と話している
- 自分を傷つける行動がある
- 何日もほとんど食べたり飲んだりしていない
- 眠れない状態が長く続いている
- 強い興奮や混乱が見られる
- 現実にはない声が聞こえるなどと訴えている
- 本人や家族の安全が保てない
本人が受診を拒んでいる場合でも、ご家族だけで相談することができます。
まとめ:本人を動かすより、安心できる関係をつくる
ひきこもっている人に対して、言わないほうがよい言葉には、次のようなものがあります。
「いつまでこんな生活を続けるの?」
「働かないの?」
「甘えているだけじゃないの?」
「同級生はみんな頑張っているよ」
「昔はもっと頑張っていたのに」
「とにかく外に出れば変わるよ」
「親が死んだらどうするの?」
これらはすべて、本人の将来を心配する家族の気持ちから出る言葉です。
しかし、本人も同じ不安を抱え、自分を責めています。
ひきこもっている人にとってつらいのは、外に出られないことだけではありません。
「家族にも理解してもらえない」
「自分には価値がない」
「この家にも居場所がない」
と感じることが、さらに心を追い詰めます。
すぐに外へ出すことや、仕事に就かせることを目標にする前に、まずは本人が家族の中で安心できる関係をつくりましょう。
「無理に話さなくても大丈夫」
「困ったときは一緒に考えよう」
「あなたの味方でいたい」
そのような言葉と穏やかな関わりが、本人が再び人とつながり、自分の人生を歩き始めるための土台になります。
自宅で、誰にも会わずに心を整えることから始めませんか?
ひきこもりやうつ状態にある方の中には、
「外に出ることがつらい」
「病院や相談室で人と話すことに抵抗がある」
「自分の状態をうまく説明できない」
という方も少なくありません。
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このような方にご利用いただけます
- 外出することに強い負担を感じている
- 人と直接会って悩みを話すことが難しい
- 気力がなく、何かを始めることに不安がある
- 自分を責める考えや、将来への不安が強くなっている
- まずは自宅でできることから始めたい
- 本人に代わって、家族が支援方法を探している
- ご本人だけでなく、ご家族が代理で申し込みを検討している
ご本人からのお申し込みが難しい場合は、ご本人の同意を得たうえで、ご家族からお申し込みいただくこともできます。ご家族の方が支援の一環として申し込める点も、本サービスの特徴です。
まずは、無理に外へ出ることや、すぐに仕事へ戻ることを目標にする必要はありません。
安心できる場所で心身を整え、少しずつ日常を取り戻していくことから始めてみませんか?
【マイスパうつ改善セラピー&カウンセリングについて詳しく見る】
マイスパは医療機関ではなく、医師による診断・治療や緊急時の対応を行うものではありません。通院中の方は主治医の治療を続けながら、補助的な方法としてご利用ください。「死にたい」という気持ちや自傷行為など、緊急性の高い状態がある場合は、医療機関や公的な相談窓口を優先してください。

